[映画]オトコを勃たすカタルシス■「アメリカン・ギャングスター」
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「アメリカン・ギャングスター」
主演、Denzel Washington as Frank Lucas、Russell Crowe as Richie Roberts
1968年、ニューヨーク。善き家族である影の麻薬王フランク・ルーカスと、家族を犠牲にして正義を貫く麻薬捜査官リッチー・ロバーツ。ともに組織の論理から道を外したイノベーターが繰り広げる「ケモノ道を行く男たちの、容赦なき闘いの物語」。
ハンターたれ、イノベーターたれ、妥協するな、迎合するな…、消費資本主義とコマイ幸福幻想に踊らされ、不能になったオトコを奮い立たせるカタルシス。シビれた。
犯罪組織との癒着、賄賂が常態化した警察組織で、一切の賄賂を受け取らず孤高を貫く麻薬捜査官リッチー・ロバーツ。危ない情報屋と付き合い、家族までを危険にさらす。夜はロー・スクールに通い、検事を志す。オンナ癖の悪さをのぞけば、かたくなまでにストイック。いや、オンナ癖の悪さも「ストイック」なのだ(すまん)。
ただし、外での正義と誠実が家庭に幸福を招くとは限らない。むしろ相反する。
ロバーツを捨てた妻の、親権を巡る法廷での一言が象徴的だ。「(家庭を壊すくらいなら)賄賂を受け取る方がましよ」
組織で浮き上がり干されていたロバーツに目をつけた連邦検事が、特命を下す。暗黒街のカリスマ逮捕、頂上作戦である。
一方のフランク・ルーカス。
単身、タイ黄金の三角地帯に乗り込みヘロインを買い付け、ベトナム経由の米軍輸送機で運び込み、良質な製品を相場の半値で販売。市場を独占するイノベーターである。
暗黒街のドンでありながら、家庭では善き夫であり息子であり兄であり、商売においては誠実。勤勉と貯蓄を旨とするストイックでプロテスタンティックな資本主義精神の持ち主でもある。
外での不正義は、家庭に幸福を招く。莫大な富とコンドミニアム、豪邸、美しき妻。クリスマスには大家族で七面鳥を焼き、神に感謝する。
不正義な善き一家の長と、正義を貫くダメ親父。実直なビジネススーツから滲み出る腐臭と、泥臭くて冴えないオトコを貫く美しき正義。二人のオトコの二律背反、二×二の四面鏡が、互いを煤けさせる。自分を晒せば、己がまた哭いていく…アレ?
アンハッピーではないけどハッピーでもない。善と悪の境界が溶けたようなエンディングは、同じくR・クロウの「L.A.コンフィデンシャル」とともに、ヘタレオトコを元気にさせる(俺も元気になりました)、based on true story(ではないようだが)なクライム映画の必見作。D・ワシントンとR・クロウが演じる大人のオトコが格好良すぎる。
エンドロール後におまけカットあり。観賞後、焦って席を立たず、ここでも大人の余裕が必要。ん? ハリウッドの消費資本主義に踊らされてる? まぁ、いいじゃないすか。
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