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2008年2月 6日 (水)

[media]新聞社のweb事業はすべて、紙の補完でしかない(多分)

 idコールされたので(「w」の意味がワカランが…w)、ちょこっと考えた、というか整理しました。

 はてなブックマーク - おれせん。 ≫ あらたにす批判を解釈してみる。

 2年前、フラットなweb空間がいわゆる「新聞社の編集権を解体する」というようなことを書きました。2006年1月 2日 (月)「はてブ」が新聞社サイトを殺す可能性

 「新s」は、逆にweb上で新聞による編集権の復活を目指しているように見えます。「読みくらべ」は、編集がないと出来ないし。

 何年も前から言われているように、デジタル化の特徴の一つは、コンテンツのばら売りです。

 音楽アーチストは、CDアルバム総体を作品として発表しているのだろうけど、少なくないユーザーはもはや(少なくとも自分は)iTunesで気に入った曲を個別に購入してます。
 新聞も同じです。紙では、個別の記事が集まり総体のパッケージ商品となりますが、webに舞台を移した途端、パッケージは解体され、あらゆる記事がフラットに並ぶばら売り状態となります。

 さて、「新s」のウリは、三社の記事や論説を比べることにあるようです。

 おれせんの人が<新sは「比べること」がレゾンデートルであり、個別記事のRSSを配信してしまったらそれこそGoogle Newsと区別が付かなくなります>と、おっしゃるよう、編集権の復活を(多分)目指しているのに、コンテンツばら売りの象徴のようなRSSを吐かないのは当然でしょう。

 こうした「編集臭」が<「上から目線」で押し付けがましい>感覚に通じるのでしょうが、そもそも新聞ってそんなもんですから仕方ないです。そうやって100年も商売してきたんだから。

 「新s」と似たようなサイトに「47news」というのがあります。「~というのがある」と言わなきゃならんくらい、知名度が低いです。
 参加各社への配慮、各社のバランスを重視しているようで、トップページがゴチャゴチャと見にくいなぁ。どこを見ればいいのか分からない。「編集」しているのだけど、結果として「編集」されていません。これが「47news」がイマイチな理由の一つのようですが、「押しつけがましい」編集を放棄して、ばら売りコンテンツが山ほどあるのにイマイチ、そんな状況が興味深いところです。

 どうも、コンテンツのばら売りがデジタル化の特性といいつつ、「編集のないコンテンツばら売りがwebでの成功の秘訣」とは言えないようです。

 編集の実質的な有無に違いはあっても、「新s」にも「47news」にも共通している点があります。コンテンツはあくまで新聞社が提供する点です。もちろん、コメントもTBもできません。

 一方で、webではCGM、UGCが基本のようです。ソーシャル、オープン化と言っても良いでしょう。OKWaveとかとか、Yahooも「みんなの政治」などでオープン化を進めています。こんなCGMサイトもできていました。結婚式場・結婚準備のクチコミサイト-みんなのウェディング

 CGMのネックはよく言われるよう「信頼性」でしょう。「新聞」の中の人が、善くも悪くも自身とネットを比較する際に使うのも「信頼性の有無」です。
 そんなCGM、UGCの信頼性を担保するのが、検索エンジンであったりSBSであったり、評価者同士の相互評価であったり、トラックバック(まぁ「TB文化」はもう死滅しつつあるようだけど、すぐに別の技術ができるのでしょう)であったり、まとめて「集合知」と言われるものなのでしょう。「集合知」が上手く機能するかどうかは、まだなんとも言えないのですが、「集合知」が言われ始めて数年、なんとか回っているようです。

 webの世界で「成功」するのは、「信頼あるコンテンツホルダー」(幻想であっても建前を貫き通すしかない)なんかではなく、コンテンツが集まる「場」のホルダーです。要はどれだけの参加者を集め、UGCを集められるか。YouTubeとかニコニコ動画とか。

 新聞社型コンテンツ提供者のリソースには限りがありますが、UGCのリソースは(一応)ほぼ無限でありますし、ユーザーは参加感も楽しめたりもします(参加感がマイナスに転ぶと、一億総探偵劇場型になるのかな)。

 こうしたオープン化は、恐らく「新聞」にとって最も拒否反応を持つものです。それこそ、新聞記者の存在意義がなくなってしまいます(笑)

 しかし、オープン化の流れは止まりそうにありません。

 新聞記事の約40%が,3年以内にUGC(User Generated Content)で占められる。これは,Polopolyが欧州の新聞経営者3000人を対象に実施したアンケート調査の結果である。Ifra Expo(メディア関連の年次イベント)と連携した調査である。
 
メディア・パブ 新聞記事の4割がユーザー作成コンテンツに,だから記者の増員は不要だと

 と、いろんな人がこれまで指摘したことを改めてうだうだ書いてきましたが、そもそも「新s」がwebの世界での「成功」を目標としているのか、ちょっと疑問なのです。

 佐々木俊尚さんの記事<新聞社三紙連合「ANY」の成功の可能性とは:佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 - CNET Japan>で、ある新聞社員の話が紹介されています。

 <「だからANYの核心になっているのは新聞事業の集約であって、インターネットの共同サイトはあくまでも『協力のあかし』として打ち出しただけだ」

 これが肝だと思うのですね。加えて、ソースは忘れましたが「新s」の人が、「アップされない記事もある。新聞に読者を誘導したい」旨のことを言っていました。

 さらに、雑誌にも記事が出ているのでもう解禁でしょう。Y紙が地方紙などに文字拡大とそれに伴う広告フォーマットの変更を申し入れているそうです。狙いは、先に文字を拡大したM社包囲網。また、特に地方の専売店の整理・統合も視野に入れているとか。

 ANYが狙う本丸は「新聞事業の集約」であって、「主戦場はあくまで『紙』」のようです。であれば、「新s」は目くらましでしょうか。

 だとすると、ここに書いてきたことは、まるで無意味になってしまうのですが、webは紙ほど稼げない(稼ぐ方法が見いだせない)上に、紙がまだなんとかなっているうちは、web事業に本気にはならないでしょう。余裕のある会社はいろいろできますが、本腰を入れるまでのリソース割けないし、web事業に本気なところは、紙がかなり厳しいと言われているとことですから。

 それが吉と出るか凶と出るかは、あと10年くらい後に分かるのでしょう。

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