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2007年11月 4日 (日)

[共謀罪][ポッポ弟][テロよりエロ]「テロとの斗い」と叫ぶ輩こそテロリスト

 「『テロとの斗い』という物言いは、なんだか卑怯だよなぁ~、ごにょごにょ」と前から感じていたのですが、なぜ卑怯なのか、論理的に明確にできずモヤモヤを感じていたところ、出張の移動中に読んだ「ウェブ炎上」(荻上チキ、ちくま新書)※旧「成城トラカレ」、現「荻上式blog」の方です※を読んでスッキリ膝を打ちました(リアルに膝は打っていない)。

 興味深い指摘なのでメモを兼ねて、ポッポ弟さんの「テロリストの怖いのが平気でこの国をうろうろしている」※本日の鳩山法相 - 一人でお茶を※と絡めて。ポッポ弟さんは法相就任時に確か、共謀罪成立に意欲を見せていたし。

 「ウェブ炎上」で膝を打ったその指摘というのは、いわゆる議題設定に関してでして、まず、

 <「テロの可能性」というのは常に潜在的でイレギュラーなものであり、その可能性は誰にも否定できない=p129>

 を前提として、

 <例えば「テロに屈するか、屈しないか」という、あの大ざっぱな問いを想起しましょう。こう問われて、留保なしに「屈する」と叫ぶことは、多くの人にとってムリがあります(野次を受けるのは目に見えています)。しかし、丁寧な議論をしようとすれば、「AかBか」という議題設定からはどうしても距離をとらざるをえません。そうして「ごにょごにょ」と説明しているうちに、「分かりやすい」フレーズだけが広がっていきます=p134>

 つまり、

 <特定の問いが構築されることで、AかBかの議論へとカスケード(※いくつもの細い川が集約して滝壺に落ちていく)していくこと。その問いへのカスケード自体が、あらかじめAの勝利という結論へのカスケードを内包していること=p136>

 というわけです。

 荻上さんはこれを「二重のカスケード」と表現されていまして、ウェブ上での議論の生産性について自覚的になるためには注意が必要、と指摘されています。
 ただ、僭越ながら補足させてもらえば、これはウェブ上に限ったことではないです。

 小泉さんが多用したワンフレーズと二項対立はまさにこの「二重のカスケード」だったわけです。
 「構造改革」を議題設定すれば、議題設定された側は「構造改革は不要だ」とは言えないし、実際に「構造改革」はあって然るべきものなんですもの。要はその中身なんですが、それを「ごにょごにょ」と説明しても、そんな説明はなかなか広くは届かないんですね、ははは。

 「二重のカスケード」の前段となる議題設定について自分は以前、こんなことを書いていました。

  [ネタ][パール判事]首相のアジェンダ・セット力は最強である。結果はさておき
  結局、議題設定したもん勝ちであって、その議題設定能力というのは政治・行政が最強で、マスコミもネットも程度の差があれそこに乗っかって踊っているだけ、そうして世論が動いていくというだけの話なんだけど、議題設定したからといってそれが議題設定者にとって吉と出るか凶と出るかはまた別問題ということで、

 われわれにとって(笑)←※この(笑)の真意は「Flat革命」(佐々木俊尚、講談社)で※不幸中の幸いだったのは、安倍晋三さんがあまりにもアレだったおかげで、史上最強の議題設定権を持っていたにも関わらず、それを行使せず(できず)「一文字で表すと『責任』」とか「WCEは少子化対策にも有効」とか「反省すべきは反省し」とかとか、明後日なことばっかりやってくれたことでしょう。
 それにしても、教基法は勘違いリーダーシップ的乱発強行採決によって「改正」されてしまいましたし、安倍さんに「二重のカスケード」を利用されていたら、これは恐ろしいことになっていたかも分からんね。

 さて、ポッポ弟さんの「友人の友人はアカルイハダカアルカイダ」「ペンタゴンのスパイだった」旨の両発言、そして今回の「テロリストがうろうろしている」は、nesskoさんの指摘通り、共謀罪を含めた超管理・監視社会的政策実現への布石、というのは間違いなさそうです。

 ただ、「恐怖売り」(不安を煽り物事を進めようとする手法)としての「テロリストの怖いのが平気でこの国をうろうろしている」発言は、内容自体が事実かそうでないかを別にしても、世間に受け入れられるほどのリアリティがあるかは微妙だし(テロリストと言われると、ハリウッド映画に出てくる髭の人を想像してしまうがうろうろはしてない)、布石も布石でそれとしては無理筋で、碁盤ひっくり返してんじゃない?という突っ込みもありそうです。

 「恐怖売り」と「二重のカスケード」は、常に政治家、官僚、マスコミに利用されてきました。前述のように、利用者の能力によっては有効に機能しないのは当然ですが、有能な政治家に使われた場合、いろんな不幸が起きているわけです。
 そういう意味で、安易に「テロとの斗い」みたいなことを声高に叫ぶ人というのは、それ自身がテロリストじゃん、と言いたいのです。ポッポ弟さんは、それ以前に碁盤をひっくり返した自爆(するだけの)テロリストかもしれませんが。すでに、こんな話も出てますし→ネットゲリラ 極楽蝶々

 「恐怖売り」と「二重のカスケード」はこれからも使われ続け、われわれは踊り続けていくのでしょうが、しかし、ポッポ弟に踊らされるほどにはわれわれは馬鹿なのでしょうか。自分としては「テロの恐怖」より「エロの魅惑」に煽られる馬鹿でありたいと思っています。

 ※「恐怖売り」というのは「アメリカは恐怖に踊る」で。→『Sicko』とデブ問題|女子リベ 安原宏美--編集者のブログ

 ※「二重のカスケード」もそうですが、「ウェブ炎上」では他にもさまざまな(よく知られている)実例が取り上げられ、それをメディア論の専門家が分析・解釈した一般向け書籍として非常に読みやすく興味深い内容です。合わせてジャーナリスト的な帰納法でウェブを観察した「Flat革命」を読めば、いまウェブで何が起きていて、それをどう解釈・理解すればよいのか、だいたいはつかめるんではないかと思います。「Flat革命」は献本いただいたのにこれまでまったく触れられませんでした。というのも新聞(社)記者として飯を食っている者にとって、非常に重い何かを突きつけられたような感じがしたからです。いずれ、なんか書こうかとは思っています。

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書 683)
ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書 683) 荻上 チキ

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starこれを読んで危機感を感じないのが日本人
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Dear foreign readers, I oppose the reestablishment of fingerprinting for all foreigners entering Japan - including residents - as introduced by the revised Immigration Control and Refugee Recognit [続きを読む]

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