[日記]村上ファンド事件の判決を見て、政権交代の必要性を痛感した
裏付けのない未確定情報はインサイダー情報とはみなされない。なんでもかんでもインサイダーになれば、自由な株取引ができなくなってしまう。
んで、どうも日本では自由な株取引はできないらしい。俺は株をやらないし村上さんがどうなってもあまり何とも思わないのだけど、それでいいのでしょうかという気がする。
村上ファンド事件判決はつまり検察統制経済の始まりで、やっぱり政権交代がないと、検察・警察含む行政機関の暴走は止まらないんじゃないかと思う。
判決が出る前、魚住昭さんが「官僚とメディア」で、村上ファンド事件(ライブドア事件)の問題点について簡潔に触れていた。
亜 村上ファンド事件では、2004年11月8日の「聞いちゃった」「言っちゃった」の場でのやり取りがインサイダー情報に当たるかどうか、が争点だったらしい。
しかし、この場での情報はあくまで漠とした内容に過ぎなかったようだ。
ライブドアのニッポン放送株取得作戦が具体化したのは、翌年(2005年)1月17日にフジテレビが同放送へのTOBを決めてからのことだ。リーマン・ブラザーズ証券を引受先とする800億円の資金調達の目処が立ったのも1月26日ごろで、取締役会で同放送株の大量取得を決議したのは2月8日のことだ。=「官僚とメディア」
村上さんの主張も、これに沿った内容だった。
11月8日の会議の設定趣旨や発言は、すべてが資金調達の見通しが立った前提から出発しているため、前提を失い、まさに砂上の楼閣だ。
検察は、村上被告がこの会議でLD側に同放送の経営権取得のため3分の1の株の買い集めに乗り出すよう強く働き掛け、堀江貴文前社長が「ぜひ、やらせてください」と言い、宮内亮治元取締役も同調したと主張する。
しかし、村上被告は大量買い集めを提案しておらず、堀江前社長も「フジテレビいいですね」と強い関心は示したが「やらせてください」と発言はしていない。
村上被告は、LDが大量買い集めを実行に移すとは現実のこととして全く想定しておらず、あくまで1-2%でも買ってもらうために「夢」を語る営業トークだった。=共同通信ニュース特集ライブドア・村上ファンド問題 最終弁論要旨 村上ファンド事件公判
「官僚とメディア」で指摘されているが、証券取引の現場でこうしたやり取りは、しばしば行われているという。そうでなければ、事前折衝や営業が不可能になってしまう。
「ちょーちょーちょーいい感じ」にもこうあった。
結局、何がインサイダーで何がインサイダーでないかの判断が今回の焦点だったわけですが、経営陣が「やりたいですね~」「いいですね~」と言い何らかのアクションを起こし、それを聞いた場合はインサイダー取引と認定されてしまうのが今回の判決だと思います。
投資ファンドは上場企業に対して、さまざまな戦略上、財務上の提案をします。提案をするということは、そもそも相手企業に対して興味を持っている、つまり、事前に株式を取得し、その後も継続的に株式を売買する可能性があります。提案をして、相手側経営陣が「やりたいですね~」「いいですね~」と言ったので、その時点でインサイダーにひっかかるからと株式の売買を停止するとは考えられず、実際、そのような行為を取っているファンドもほぼないと思われます。=ちょーちょーちょーいい感じ:村上裁判:結局は利益至上主義を罰したかっただけでは?
して判決は、違法適法の基準を大幅に引き下げた。
「LDの業務執行を決定する機関が、同社においてニッポン放送の総株主の議決権数の5%以上の株券等を買い集めることについての決定をした」と認めるためには「堀江貴文元社長及び宮内元取締役において、LDが05年3月までに行うニッポン放送株の5%以上の大量買い集めにつき、その実現を意図して、LDの業務として調査、準備、交渉等の諸作業を行う旨を決定し、その実現可能性がなかったとはいえなかった」という事実が認められれば十分である。=村上ファンド証取法違反:東京地裁判決(要旨)-事件:MSN毎日インタラクティブ
漠とした情報であっても、「実現可能性さえあれば」十分に「違法」ということらしい。法律の適用基準を恣意的に下げることにより、合法の範囲だった行為を犯罪とする「事件を作る」ことに、裁判所がお墨付きを与えたようなもんです。
捜査当局は大喜びしていると思いますよ。自分らの胸先三寸で、気に入らぬ奴を罪に問えるのだから。
前出、「ちょーちょーちょーいい感じ」でも、こう言っています。
今回の判決をそのまま受け入れると、ほぼすべての証券会社、ファンドは有罪となる可能性が高いのでは?と思ったりします。
で、判決が認定したのは次の通り。
11月8日の会議では、堀江元社長と宮内元取締役において、LDがニッポン放送株の3分の1以上を買い集める旨を明確に意思表明し、資金調達の見通しも述べており、LDがニッポン放送株の3分の1の大量買い集めを行うことについての決定が被告に伝達されたと認められる。
特段の事情がない限り、被告は11月8日の会議で決定を伝達されたとの認識を有するに至ったと認めるのが相当である。
これに対し被告は(略)。
しかし、被告には、LDが大量買い集めの実現を意図していたことの認識も実現可能性があることの認識もあったものと認められる。被告にはインサイダー取引の故意が認められる。
実現可能性があったからこそ、村上さんは100億円でニッポン放送株を翌9日から買い始めたのであって、それは故意に違いないけど、ただの(少ないけど)リスクをとった商行為じゃないの?という感じだ。
だいたい、相場が公平で透明であるはずなどなく、だから昔から素人は株に手を出すなと言われてきたのだ。「貯蓄から投資へ」がネオリベ的「拒否できない日本」な陰謀かどうかは知らんけど、市場が公平で公正なんて幻想、国策に踊らされても馬鹿をみるだけですよ、人の行く 裏に道あり 花の山。
それはさておき判決は、<被告は「ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前」と言うが、このような徹底した利益至上主義には慄然(りつぜん)とせざるを得ない>とも言っているのだけど、道徳的判断はさておき、いやいや、NPOじゃあるまいし投資ファンドが利益至上主義を徹底するのは当たり前じゃない。利益至上でない投資ファンドに誰が出資するんだ? 日本はいつから統制経済になったんだ?
で、保田さんの言うとおり利益至上主義が罰せられたわけで、金融のプロである保田さんと検察取材の長いジャーナリストである魚住さんの見方が一致しているところが興味深い。
魚住さんはさらに踏み込んで、こう指摘している。
その内実は、これまで手の出なかった企業社会の中枢に検察の“縄張り”を広げていくことにほかならない。
その絶好のターゲットとして選ばれたのがライブドアであり、村上ファンドであった。
「官僚とメディア」によれば、1993年の金丸信巨額脱税事件以降、預金保険機構理事長や公正取引委員会委員長、日本版SEC委員長、金融庁長官など行政機関のトップに検察OBが起用されるようになった。それとともに、「国策捜査」も幅を利かせていく。
いずれ、上場企業もファンドもベンチャーも、あらゆる会社が検察OBの天下りを抱えることになったりしてね。衣の下から鎧をちらつかせられて。
ということで、「官から民へ」の掛け声虚しく、最強の官製経済の完成であります(駄洒落ではない)。
政権交代したからといって、格差問題がすぐに解消されるとか、年金問題が解決するとか、そんなことはない。日常生活はほとんど変わらない。
ただし、検察、警察含む行政機関への緊張感というのは間違いなく高まる。もちろん、魚住さんや保田さんのようなフリーの人が書ける話すら遠慮して書けないマスメディアへのそれも。
だから、政権交代が必要なんだ、と強く思った次第。
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コメント
いやぁ、素人は株買わない方がいいっすよ、って、実は保守派(苦笑
ってか、新聞記者が株やっちゃだめですね、経済部でなくても。長期保有ならいいか?な。
投稿: 管理人@踊る新聞屋-。 | 2007年8月 5日 (日) 01時07分
政権交代よりも最高裁の判例がないと、まともな判決が出せない司法制度が問題だと思います。確か不確かを判別できていない時点でインサイダーなら私は怖くて株買えません
投稿: 某S | 2007年7月29日 (日) 16時21分