トリックスターとしての新星[奥谷禮子]氏。平成のマリー・アントワネット「下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。そう言って甘やかすのはいかがなものか」
<過労死まで行くというのは、やはり本人の自己管理ですよ>など数々のやんごとなき御発言で一躍、労働法制論議のアイドルとなった奥谷禮子氏。面白可笑しく労働法制論議をかき回すその姿に、「ガス抜き」「嘲笑の対象」装置としてのトリックスター的資質が見て取れる。
ただし、トリックスターが引っかき回した場の末路というのは、結構悲惨だったりもする。
現在、奥谷氏に付された人物評価的タグは[これはひどい] [死ねばいいのに][美しい国]とかとかまぁ、なんていうか。あ、アムウェイ顧問なのか、この方。
別に死ななくてもいいし、アムウェイの人も身近にいなければ構わない。嗤えるトンデモ発言を繰り返す分には面白いのだけど、ちょっと困ったことが起きつつある。奥谷氏のトリックスター性が、煙幕みたいな機能を持ち始めているのだ。
奥谷氏のトンデモ発言が話題になった同じ週刊東洋経済には、お馴染みのICU教授八代尚宏氏も登場してこう述べている。
<ホワイトカラー・エグゼンプションを「残業代なしの働き方」というのは誤りで、正しくは残業代の「定額払い」だ。これで過労死が増えると主張する向きもあるが、残業しなければ給料が増えない仕組みにも問題がある。労働者が特定の企業にしがみつくのではなく、円滑に転職できる自由を確保することも大事だ。そのためには中途採用機会が増えるような雇用の流動化と、人材ビジネスがもっと発展して、よりよい職の紹介や訓練ができるような形にすべきだ>
八代氏はこれ以外にも、非正社員なりの雇用安定策や長期的に望ましい労働市場のあり方を考える必要性を示している。もちろん自分には八代氏の話が机上の空論としか思えないものの、<何でも"お上頼り"が間違い 過労死は自己管理の問題です><結果平等ではなく機会平等へと社会を変えてきたのは私たちですよ><だいたい経営者が、過労死するまで働けなんて言いませんからね><同様に労働基準監督署も不要です>(いずれも東洋経済から)と、工場法制定以来、軽い文章に取り込むのも憚られるような血と汗と屍の上に築かれた労働法制をすべてぶっ壊してしまうような奥谷氏に比べれば(比べるのも失礼だが)、八代氏は極めて真っ当である。
こんな白金ランチ談義(“セレブ”というと白金ランチしか思いつかない田舎者です)は、それこそスルーするのが王道なのだけど、ともかく労政審委員という肩書きを手に入れてしまったため、発言がいちいち表に出てくるものだから、ついつい脊髄反射してしまったりもする。
いくら使用者代表とは言え、よくもまぁこんな人を労政審の委員にしたものだ。いったい誰が任命したんだろう?
フライトアテンダント仕込みのオジサマ操縦術は侮れない。あの世界のオジサマ方に、いかにも寵愛されそうなキャリアだよなぁ。ハハハ。でも、自分もアテンダントは大好きだぞ。
教育再生会議に続いて労政審もネタにしようという意図か、いやしかし奥谷氏のお陰で、他の使用者代表委員の発言が至極真っ当に思えてくるから不思議なものだ。
といいつつ実は、ぜんぜん不思議でなくて、ただの錯覚というか、原価100円のバナナでも「ギャッソンリット王子の農園で丹精された高級品1000円」の値札と50%引きのシールを貼っておけばお得感を得られるような、そんな感じ。
確かに、使用者側の本音を露骨なまでに晒し出す明らかに困ったちゃんである奥谷氏の発言は、使用者側にとっては労働者側への利敵行為のようにも写るけど、奥谷氏がやんごとなき発言を繰り返すほど、八代氏辺りの議論が落としどころとして妥当に感じてくるのだから困ったものだ。
厚労省や財界のお歴々が、奥谷氏にトリックスターの役割を期待しているわけはないけれども、奥谷氏逆噴射の結果として、奥谷氏以外の使用者代表の意見が、労働法制審の落としどころにされてしまうかもしれないような気がしないでもない。
[奥谷禮子]氏。激しい思いこみを元に、「労働者は甘えている」「過労死は自己管理の問題」といった暴論を労働法制審の場に投下し、使用者、労働者、公益代表者、世論の諍い、労働法制論議のネタ化を引き起こし、結果としてホワイトカラーエグゼンプションと労基署廃止に貢献した…なんてことになりませんように。
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B9&oldid=9319330
トリックスターの政治経済サブカル的(?)考察については、こちらが面白かった。<トルコ文化研究所 トリックスター効果(笑い話からみた時事批評)>
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» 「これみよがしの愚かさは、ほどのいい知恵よりも何倍か賢い。」(C)池内紀 [一人でお茶を]
奥谷禮子女史萌えが醒めかかってきて、なぜか思い出した一節。↓のような記事を読んだせいかな。 トリックスターとしての新星[奥谷禮子]氏。平成のマリー・アントワネット「下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。そう言って甘やかすのはいかがなものか」(踊る新聞屋) 見出... [続きを読む]
受信: 2007年1月17日 (水) 21時04分
» 過労死は自己管理の問題? [りゅうちゃんミストラル]
人材派遣会社社長、奥谷禮子氏による発言が問題となっている。 奥谷氏は厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の分科会委員。問題の発言はホワイトカラーエグゼンプションに関するもの。下の記事によると週刊誌のインタビューでこう発言したそうだ。「経営者は、...... [続きを読む]
受信: 2007年2月 8日 (木) 14時55分



コメント
派遣業は現代の奴隷商売ですから。地方で偉そうに発言しているハケン業者見ると、吐き気がしますわ。もともと、口入れ、手配師なんてヤクザな商売だったんですから>ねこさま
そのうち、優秀な中国、インド人がいっぱい入ってくると思いますよ。もしくは、日本人が出稼ぎか >某Sさま
そのうち、どこかでしっぺ返しがくるかな、と期待しているんですけど、それでも安倍さんの支持率は40%あるんですから、もうどうにでもなれと(w 嗤ってる場合でもないけど >さすらい派遣さま
投稿: 管理人@踊る新聞屋-。 | 2007年1月24日 (水) 00時00分
うちらの業界だと、概ね30%以上がピンハネ率かな。一人当たり単価が下がり続けてるから、某本社からは、50%近いピンハネ指令が出ているとか。実際、数年前の時点で、5600円/日なんて同業者も。
過当競争の結果、馬鹿みたいに低い入札額を提示する業者があとを絶たないところ、役所がその金額でOKしちゃうもんだから、それが基準になっちゃって、年々単価が下がってるのですよ。
で、企業間取引にも飛び火する…の悪循環。だもんで、しなやかに待遇改善を求めると、風当たりがなにかと強いという日本的公式だけは、今だ残ってたり^^;
つーわけで、本日も休みなもんだから、こうやって憂さ晴らし(暴露)をしてみたり。
投稿: さすらいの派遣労働者(w | 2007年1月23日 (火) 15時58分
行き着く先は、外国人の正規雇用のような気がしますが。
投稿: 某S | 2007年1月17日 (水) 21時52分
とりあえず、偉そうなことを言う前に、派遣法を改正して、
ピンハネ額の開示と上限額(率)の法定をしてから
にしてもらいたい。
サラ金よりヒドイよ。
投稿: ねこ | 2007年1月15日 (月) 21時07分