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2007年1月29日 (月)

ディヴァイド・アンド・ルールとしての給食費滞納騒ぎ

 文科省が調査した義務教育の給食費滞納が、ちょっとした騒ぎになっているよう。この問題、昨年11月27日に読売新聞が独自調査を基に「給食費、滞納18億円」と一面トップで記事にして、その後、キャンペーンみたいなことをやったのが発端だった。

 読売の報道後、デスクから「県内分だけでもまとめてみたらどうだ」と言われて、「イヤだ」(本当はもっとマイルドかつ婉曲な言い方ですけど)と即答したので、よく覚えている。

 何が嫌かって、ありもしない「規範意識の低下」に誘導したい意図が見え見えなんですから。

 文科省の調査によれば、2005年度の給食費滞納児童は約10万人、総額約22億円。こう聞くと結構な額で大きな社会問題のような印象を受けるものの、率で言えば児童の1%、額にして0.5%にすぎない。
 別に滞納が急増しているわけでもない。

 安直な役所批判は避けたいところだけど、例えば全国約2000の地方自治体が、役に立たない事務職員(決して現業部門ではない)のジジイを一人づつ首にするだけで、未納給食費の10倍、200億円の人件費が浮くのである。

 「義務教育だからた給食費もタダだと主張する親」「外車で学校に乗りつけるのに給食費は払わない親」なんてエッジの立ったエピソードが羅列されたけど、しょうもない親なんていつの時代、社会にもいるもんで、これをとって「規範意識の低下」に導くのって、本当にどうなのよ。

 5号館さんが説明してくれている通り、文科省が言う「規範意識の低下」の根拠となるアンケートもやや誘導的だし、そもそも「規範意識の低下」を実証する資料というものに、少なくとも自分はこれまでお目にかかったことはない。<5号館のつぶやき  「親たたき」としての給食費未納問題
 憂国の志士の方々(苦笑)が騒いでいるだけじゃん。

 究極的には給食費の滞納率はゼロを目指すのは適正としても、実態としてゼロなんて北朝鮮みたいな国でないと実現できないでしょう。

 にもかかわらず、喧しい「DQN親」「規範意識の低下」がやたらとフレームアップされると、「うちはきちんと払っているのに…」といった不公平感、疑心暗鬼、密告を生む。
 子供というのは敏感で残酷だから、クラスにいる未納児童が特定されれば、いじめにもつながるんでないかと思ったりもする。

 生活保護の不正受給問題での反応と同じ構図だわ。まぁ、ディヴァイド・アンド・ルール(分断して統治せよ)というのは、為政の基本であるけども、それにしてもうまく使われているなぁと。

 「規範意識・道徳心の低下」に説得力がないのは、以下の文章を読めば分かると思う。

 <今日行く審議会@はてな - 不安社会の言説

 「規範意識の低下」を誠実に説明しようとすれば、無茶な三段論法を使わざるを得ないのである。

 しかし、こうした公徳心云々の議論を聞くたび、ゆとり教育を推進した三浦朱門氏の言う「実直な精神」を思い出す。

 <「出来ん者は出来んままで結構、エリート以外は実直な精神だけ持っててくれればいい」「限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです」http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E4%B8%89%E6%B5%A6%E6%9C%B1%E9%96%80&oldid=9969881

 なんというか、一糸乱れぬマスゲームに嬉々として参加し、それを素晴らしいと感じるような美しい国の美しい精神。派遣でピンハネされても、偽装請負で労災降りなくても、文句を言わない、実直で自己犠牲的な社会奉仕の美しい規範意識。そんな感じ。いやはや素晴らしい。

 ところで、読売の報道後も、全国紙を含めてほとんどがスルーだった給食費未納問題なのだけど(独自調査だから簡単に追いかけられないという事情はあるにせよ)、ここに来てなぜ大騒ぎになり始めたかというと、地方自治体が財政難で未納者からの徴収を強化する例が確かに増えていることがあるのだけど、決め手は文科省が調査して発表したから。

 役所が発表、それもなんとなく社会問題っぽいものだと、なかなかスルーはできないんですわ。仮に文科省が強調したがる「規範意識の低下」を否定しようと思っても、そうした材料を短期間で集めるのは至難であって、気がつくと発表にちょこっと味付け、それも発表を補強・裏付けるような材料を取捨選択して、報道洪水の一丁上がりとなるわけです。

 それに乗っかっり、ワイドショーで「最近の親は云々…」としたり顔で説教たれるコメンテーターは、本当に阿呆かと、天に唾吐いてみる。

 <「規範意識の低下」神話とメディアリテラシー><給食費滞納と報道  佐藤清文

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コメント

時代に流されるのが楽なのでそうすることにしました。 コメントありがとうございますです >1234様

投稿: 管理人@踊る新聞屋-。 | 2007年2月 9日 (金) 23時50分

しかし、無知な大衆がこぞって表面的な正論振りかざしています。バカ親、バカ親って。あんた達の方がよっぽどバカ親じゃないかって。どうしようもありません。時代に流されましょう。(管理人さんコメント、さすがです。プロを感じました。)

投稿: 1234 | 2007年2月 5日 (月) 10時24分

でも、王の下を支える奴隷は今後、外国からいっぱい移民が来るのでどうでもいいと思っていたりして。もう、中間層をどうのなんて戦略はないような感じがします。公立も、言われているほど非道いわけではないと思うのですが。>某Sさま

いえ、ただの尻馬乗っかりですいません。パコは恐らくデイリーのネタがないというあたりではないでしょうか。ハッキリとは分かりませんが。きょうあたり、ボチボチ出てきましたが、姉歯さんの時ほど盛り上がらないのは変ですよねぇ。>5号館さま

投稿: 管理人@踊る新聞屋-。 | 2007年2月 2日 (金) 00時16分

 いつも適切なフォロー及びバックアップをありがとうございます。

 ところで別件ですが、先週のパコ騒動の後、ぱったりと報道が消えてしまっているのは、どうしてなのでしょう。誰も気持ちが悪いと思っていないのでしょうか?

投稿: 5号館のつぶやき | 2007年1月31日 (水) 12時28分

最近の親という件は、実は育ちの良いご子息の
集まりの私立では、ほとんどないとか。要するに
教育の格差が、親の格差を表しているとか。

結論としてはお受験しないと、ダメアルヨということ
でしょうか。そんなダブルスタンダードだから
子供を作れとか推奨されても気が進まないんです。
格差を否定はしないが、まず公立なら給食費を
無料とかにして底辺から立て直さないと教育
改革なんて成り立たない悪寒です。王の下に
何万の奴隷がいて初めて建つピラミッドです。

投稿: 某S | 2007年1月30日 (火) 20時19分

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